保有しているビットコインの売却予定や使い道がない人にとって、仮想通貨の貸し出し(貸仮想通貨, レンディング)は運用手段の一つとして重宝されています。含み損で売るに売れなかったり、含み益を利益確定して税金を払うのを避けたい人など、利用している理由は人それぞれでしょう。
その貸仮想通貨サービスはCoincheckが先駆けて提供していましたが、今はCoincheck以外にもGMOコインやbitbankも提供して着々と裾野が広がっています。
- Coincheck(コインチェック)
- 公式サイト
- GMOコイン - 公式サイト
- bitbank - 公式サイト
しかし、やはり利率(金利)・補償・流動性を考えると FreeBitcoin(フリービットコイン)の "EARN BTC" のほうがメリットがあると言わざるを得ません。すでに貸仮想通貨を使っている人も、これから利用を考えていた人も、ぜひ選択肢の一つとして検討してみてください。
FreeBitcoin(フリービットコイン) - 公式サイト
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年率4.08%!含み損のビットコインはFreeBitcoinに預けて増やしましょう
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取引所の貸仮想通貨も契約するだけで保有するBTCを増やせるので良い使い道ではありますが、色々と惜しい点もあるので、他にも類似のサービスがあることを知ってから利用の判断をすると良いと思います。
貸仮想通貨の惜しい点
まず、貸仮想通貨を手放しにはオススメできない理由として、下記のような点が挙げられます。
- 貸出期間中の資金拘束
- 高いとは言えない金利(利息)
- 取引所破綻時の補償がない
他を知らないと「こんなもんだろう」と思ってしまいますが、それぞれのデメリットを改めて確認しておきましょう。銀行の定期預金であれば「こんなもん」かも知れませんが、これはボラティリティも桁違いに高い仮想通貨の話なので見過ごしてはいけません。
貸出期間中の資金拘束
ボラティリティの高い仮想通貨において、資金拘束(自由に入出金・売買できない)は非常に問題があります。
「長期保有したいけど握力に自信がない(微益で利益確定してしまう)」といった人には、強制的にガチホ(ガチホールド)するのに好都合かも知れませんが、タイミングによっては目標とする利益水準になっても利確できないということでもあります。その後に反落して含み損を抱えることになったら目も当てられません。
貸出期間としては、Coincheckが比較的短期の貸し出しも用意していますが、基本的には最低1ヶ月となっており、長いと1年もビットコインが手元を離れることになってしまいます。
仮想通貨取引所 | 貸出期間 |
Coincheck | 14日 |
30日 | |
90日 | |
365日 | |
GMOコイン | 1ヶ月 |
3ヶ月 | |
6ヶ月 | |
bitbank.cc | 1年 |
1年間の変動幅という観点では、2017年は12万~240万円、2018年は36万円~200万円、2019年は36万~149万円という安値・高値が存在します。もし貸し出していると、この値動きの中で損切りも利確もできなくなるわけですね。
このリスクや機会損失を軽減しようと貸出期間を短くすると、今度は貸し出しで得られる金利収入に影響がでてきてしまいます。
高いとは言えない金利(利息)
貸出期間の資金拘束の次は「貸出金利」についてです。これは貸し出す目的そのものなので、非常に重要な内容です。
基本的に貸出期間が長いほど受け取ることのできる金利は高くなるよう設定されていますが、半年・1年の中長期の貸し出しでも最大5%の金利となっています。
業者 | 貸出期間 | 利率(年率) |
Coincheck | 14日 | 1.00% |
30日 | 2.00% | |
90日 | 3.00% | |
180日 | 4.00% | |
365日 | 5.00% | |
GMOコイン | 1ヶ月 | 2.00% |
3ヶ月 | 4.00% | |
6ヶ月 | 5.00% | |
bitbank.cc | 1年 | 1-3% |
2017年のバブル以降の値動きは比較的マイルドなものの、それでもビットコインは1日5%増減する日もあります。2020年3月には10%も下落する日がありました。
このボラティリティを考えると、元本に対して5%の金利のために資金をロックしてしまうのが賢明な判断なのかは疑問が残ります。100万~200万円台で購入して、ひどい塩漬けになっていない限りは利益確定を積み重ねたほうが確実に実入りは増えるでしょう。
取引所破綻時の補償がない
最後に、これはハードウェア・ウォレットなどで自己管理しないと不可避な問題ではありますが、貸仮想通貨(レンディング)は取引所の破綻時に元本が補償されません。
取引所に預けている仮想通貨のように分別管理もされないため、債務者への返済原資がない場合は貸し出した仮想通貨も返還されないわけですね。分別管理されないということは、取引所の資金と一緒になって管理されるということです。
これはこの後に紹介するFreeBitcoinのサービスでも同じことなので、「金利収入のあるサービスに、どれだけビットコインを預けるか」でコントロールすることになります。万が一のときに致命傷になるような金額を預けないことが重要です。
貸仮想通貨を使う利点
ここまで色々とデメリットのような視点ばばかり書いてきましたが、もちろん日本の取引所で貸仮想通貨を利用するメリットも存在します。
やはり一番の利点として挙げられるのは、何と言っても「日本の取引所であること」という点でしょう。
資金決済法に基づく「仮想通貨交換業」として金融庁への登録(事実上の認可)があることに加えて、何かあったときでも日本語によるサポートを受けられるのは安心感がありますね。BittrexやPoloniexのような海外の大手仮想通貨取引所であっても英語が基本なので、問題があったときに状況を説明するのにも一苦労します。「日本語が使える」というのは間違いなくメリットと言えるでしょう。
仮想通貨交換業者登録一覧(PDF) - 金融庁
もう一つ挙げるとしたら、ビットコイン以外のアルトコインを貸出できることですね。私も少額かつ短期ですが過去に貸し出しをしたことがあります。
注意したいのは、上記のケースは貸出期間中が1ヶ月で短期でしたが、もし長期だった場合はBTCが200万円を越えた仮想通貨バブルの2017年中に「何もできなかった」ことになります。
FreeBitcoinの"EARN BTC"を使うと
貸仮想通貨(レンディング)についてのメリット・デメリットを把握できたところで、次はFreeBitcoin(フリービットコイン)について紹介したいと思います。
FreeBitcoinは仮想通貨取引所ではなく、フォーセット(Faucet)と呼ばれるビットコインを無料配布しているサイトです。フォーセット自体は他にも色々とありますが、中でもFreeBitcoinは2013年から行っている業界最古にして最大のフォーセットサイトとなっています。
FreeBitcoin(フリービットコイン) - 公式サイト
このサイト内で貸仮想通貨の代わりに活用できるのが "EARN BTC" という預けているBTCに対して金利が付与されるサービスで、貸仮想通貨のデメリット3つのうち2つを埋めてくれるものとなっています。
- いつでも出し入れ可能(資金拘束なし)
- 高金利を毎日付利
- 破綻(閉鎖時)は補償なし
最後にある「国内取引所は破綻リスク」で「FreeBitcoinは閉鎖リスク」というものが存在していて、これについては解消しきれません。何を選んでも避けられないリスクです。
ということで、FreeBitcoinを使うケースについて内容を詳しく見ていきましょう。
いつでも出し入れ可能(資金拘束なし)
まずは資金拘束がないという点ですが、いつでも入出金できるというのは利用者にとって非常に都合のいい仕組みです。
繰り返しになりますが、レンディングの場合は貸出期間中に何があっても原則として引き出せないため、相場の急騰で利確することも急落による損切りもできません。現金が入用になった場合でも換金できないということでもあります。
次に書くFreeBitcoinと同等の金利を受けようとすると、国内では最低3ヶ月~1年間の貸し出しが必要なので、ボラティリティの高い仮想通貨に置いては機会損失を想定したガチホ(ガチホールド)をおかなければいけません。
高金利を毎日付利
これがFreeBitcoinのEARN BTCを使う最大の利点です。
レンディングは貸出期間の満期時に元本と利息が戻ってきますが、EARN BTCの場合は元本に対して毎日金利が付与されます。さらに、その「元本+利息」に対して、次の利息が計算されて付与されることになります(複利計算)。
金利は年利4.08%なのでCoincheckの90日(3.0%)より高く、GMOコインの3ヶ月(4.0%)と同等の金利が設定されています。この金利はもうずっと変更されていません。
実際は複利なので、ビットコインをずっと置いておけば実質利回りは年率4.16%となります。
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もちろん、増えたBTCはいつでも引き出せます。
破綻(閉鎖時)は補償なし
破綻リスクについては、残念ながらFreeBitcoinを使おうと国内取引所を使おうと同じです。避けられないので、自己責任でリスクコントロールしていくしかありません。
FreeBitcoinは2013年から運営を続けているとはいえ、油断せずに自分の資産を守ることは常に意識する必要があります。
業者 | 創業 |
FreeBitcoin | 2013年 |
Coincheck | 2012年 |
GMOコイン(仮想通貨交換業者) | 2016年 |
bitbank.cc(仮想通貨交換業者) | 2014年 |
ただ、FreeBitcoinの"EARN BTC"はいつでも出金できるメリットがあります。ここで貸仮想通貨と違って「資金拘束されない」というメリットが活きてくるでしょう。
デメリットは海外サイトであること
今のところデメリットらしいデメリットは感じていませんが、人によってはFreeBitcoinにもデメリットがあると言えるかも知れません。というのも、FreeBitcoinは「英語のみ」です。
何かあったときに問い合わせるにも英語が必須となり、さらにEARN BTC以外にも色々とあるサービスの全てが英語で説明されています。サービスの説明文は自動翻訳でも意味は分かるのかも知れませんが、万が一の問い合わせに関してはハードルが高いでしょう(英語が得意な私でも問い合わせるのは苦手です)。
FreeBitcoin(フリービットコイン)のFAQを読んでみました - 高学歴ワーキングプアの副業生活
ただ、私は保有するビットコインを3年近くハードウェア・ウォレット(TREZOR)・フォーセット・国内取引所で移動させていますが、今のところ何か問題が起こったことはありません。お世話になる必要な人も多くはないでしょう。「何かあったときに英語だと困る」という理由で使わないのはもったいないと思います。
国内仮想通貨取引所の貸仮想通貨やレンディングを利用を考える際には、ぜひフリービットコインに資金を置いておくことも選択肢にしてみてください。