筋トレ

アブローラー初心者が腰や背中を痛める原因はフォームと筋力です

腹筋ローラー(アブローラー)のトレーニング方法

 

アブローラー(腹筋ローラー)は、筋トレ初心者から熟練者まで愛用者が多いトレーニング器具ですね。ちょっとしたスペースがあれば自宅でも手軽に扱えるのが特徴です。

この記事中では「アブローラー」で表記を揃えています。「アブ(abs)」は英語の"abdominals"の略表記で「腹筋」を意味します。海外では"Abs Roller"や"Abs Wheel"(アブホイール)と呼ばれているトレーニングギアです。

アブローラーは腹直筋を中心とした腹筋を鍛えることができ、やり方によってはクランチなどの筋トレ種目を大きく超える強い刺激を与えることが可能です。

一方、その負荷を正確なフォームで腹筋に伝えないと、背中・背骨や腰に負荷がかかって怪我をしやすいトレーニング方法でもあります。痛めてしまう人が本当に多いので無理は禁物です。

今回は、そんなアブローラー初心者の方に向けて、「背中・肩を痛めない」方法でアブローラーを使いこなしていく方法をご紹介したいと思います。誰でも絶対にできるようになります。

アブローラーの正しい使い方

まず最初に頭に入れておいて欲しいのが、「アブローラーは誰でも必ずできる(ようになる)」ということです。

トレーニング中に背中や腰が痛くなる人は、間違いなく「フォーム」や「筋力」に問題があります。まずは正しいフォームを覚えて、現在の筋力に適切な負荷から始めてください。

腹直筋以外にも必要な筋力に問題がない場合、フォームを見直すだけで嘘のように痛みが消えてコロコロできるようになるでしょう。

そして、回数をこなして疲れでフォームが崩れてくると、また腰や背中が痛くなりだします。もはや、これは「アブローラーあるある」と言っても過言ではありません。それだけフォームは重要だということです。

それでは、まずは初心者が気を付けるべきポイントを説明していきます。

自分の「筋力」にあった適切な負荷

使い始めは自分の筋力を過信せず、「アブローラーに慣れること」から始めましょう。

初心者や腹筋に自信のない人には「二輪」「ローラーが大きいもの」がオススメです。

下の商品は私も使い始めから立ちコロができるようになるまで使っていたもので、スポンジのグリップとゴム製の大きめ二輪ローラーなので非常に安定して使いやすいです。いつの間にか定番の売れ筋商品になっていました。

これまでシットアップやレッグレイズなどの腹筋運動をしてきた人は、自分に「ある程度の筋力がある」と思いがちですが、アブローラーでは初心者として謙虚になってください。アブローラーに必要なのは腹直筋だけではありません。

腹筋および腹筋以外の筋力

アブローラーを使用するにあたって必要となる「筋力」には2種類あります。

1つ目は「腹筋の筋力」で、そもそもアブローラーは腹筋を鍛えるワークアウトですが、あまりにも腹筋の筋力がない人はシットアップ(いわゆる腹筋運動)などで必要最低限の腹筋をつけましょう。

腹筋の筋力がない状態でアブローラーを始めると、腹筋以外の筋肉の動員を増やしてフォームが崩れるなどして、そもそも目当ての腹直筋に刺激を十分に与えられない可能性があります。

「アブローラーで鍛える」というよりも、まずは「アブローラーに慣れる」ことを目的に試しつつ、腹筋は別のトレーニングで鍛えることをオススメします。急がば回れで、最終的には効率的な成長への近道になるでしょう。

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2つ目は「上半身の筋力」です。

具体的には、アブローラーを前に転がすとき・戻すときに体を支える筋力で、これがないと正しいフォームをキープすることができません。反対に、これは腹筋以外にアブローラーで刺激される部位でもあります。

これも「慣れ」の面も大きいので、腹筋以外に腕(上腕三頭筋)・肩(三角筋)・背中(広背筋や脊柱起立筋群)などが先に疲れてしまう場合、それ以上は無理せずにインターバル(セット間の休憩)をとってください。疲弊した部位をかばいながらのトレーニングは正しくないフォームになり、非効率かつ怪我のもとです。

腹筋以外の部位が付いてこられない場合、その部位を個別にトレーニングしても良いでしょう。アブローラーをやることで、その部位が筋肉痛になるかも判断材料になります。

やり方による負荷の調整

それでは、実際に自分にあった負荷にするためのオプションをご紹介します。どのサイト・動画もこれは必ず説明しているので、ここでは簡潔に書いておきます。

  1. 立った状態から始める「立ちコロ」(高負荷)
  2. 膝をついたところから始める「膝コロ」(低負荷)
  3. 壁をストッパーにして負荷を一定に

まずは立った状態からスタートする「立ちコロ」ですが、この記事では説明する必要もない目指すべきゴールですね。「立ちコロ」は強靭な腹筋は当然として、支えるための三角筋や戻すときの広背筋・大円筋・脊柱起立筋などにも相当な負荷がかかるため、上半身もかなり鍛え抜かれている必要があります。

次は今回のメインとなる「膝コロ」です。その名のとおり、膝をついた姿勢でローラーを転がすトレーニング方法ですね。これは後で説明する「正しいフォーム」を必ず意識してください。

3つ目に挙げた「壁をストッパーにして負荷を一定に」ですが、これは壁に向かってローラーを転がし、それ以上は前に転がらないようにする方法(壁コロ)です。

壁を腹筋ローラーのストッパーに利用

初めの頃は自分の筋力で耐えられる負荷が分からないので、「壁コロ」で始めて徐々に壁から離れて負荷を高めていきましょう。無理だと思ったら戻すのを諦めて、そのまま耐えずに潰れてください。無理に戻そうとして姿勢が崩れると、背中や腰を痛める原因になってしまいます。

正しいフォームと意識すべきこと

アブローラーのフォームは、「慣れ」と「筋肉の成長」で自然と身に付きます。

ここで言う「正しいフォーム」とは初心者が、怪我をせずに無理なくワークアウトを行うためのフォームです。

ただ、最初は慣れも筋力も十分ではないので、テクニックを生かしてコツをつかむ期間だと思ってください。これを知らないで挑み、「痛くなるから・痛めたから」と言って、アブローラーを止めてしまう人が多いです。もったいないですね。

フォームを色々と解説しているサイトや動画があると思いますが、実践しているモデルは筋骨隆々なマッチョな人が多いでしょう。

みなさん同じような「正しいこと」を言っていると思いますが、既に相当な筋力がある人の目線のため、これから鍛えるレベルの初心者が悩む(解決すべき)ポイントではない可能性があります。

それを踏まえて、「正しいフォーム」になるためのテクニックをご紹介します。数は多いですが、それだけ見た目よりは難しいトレーニングギアだと思ってください。

  1. とにかく腹筋に力を入れることに集中
  2. 背筋は伸ばさずに猫背(首を前に出すくらい)
  3. 肘(ひじ)は伸ばさず外側に軽く曲げる
  4. ローラーを上から押し付けながら転がす
  5. 伸びている間はおへそを見る(顔を上げない)
  6. 腕から肩は一直線(横から見て)
  7. お尻にも力を入れる(姿勢維持)
  8. 足を広めに開くことで負荷を軽減(できない場合)

それでは、それぞれを詳しく見ていきましょう。怪我をしないためにも、初心者ほど全て重要です。

とにかく腹筋に力を入れることに集中

これに勝るテクニックはありません。とにかく腹筋に集中して刺激を感じてください。前に転がすのが目的ではないので、ローラーを転がすことに意識を集中させてはいけません。

筋トレで刺激を与える部位を意識するのは当たり前のことですが、怪我の多いアブローラーは特に意識が必要です。最初から最後まで腹筋を意識してください。意識することで、他に挙げたいくつかのポイントは自然にできてきます。

ローラーを前に転がす前から腹筋に力を入れておくのがオススメです。

背筋は伸ばさずに猫背(首を前に出すくらい)

アブローラーにおける猫背の形は、背中・腰を痛めないようにするのに効果的です。筋トレでよく耳にする「肩甲骨を寄せる」とは真逆の形です。

初心者は背中を丸めましょう

伸ばしたときに頭が両腕(上腕二頭筋)の間に入るくらい首は曲げてしまえば、自然と背中も丸まるでしょう。背中も丸めることで、上の1で書いた「腹筋に力を入れる」ことも自然とできるはずです。

ここで絶対にやってはいけないのは「肩甲骨を寄せる(胸を張る)」という動作です。ここまでやらないにしても、十分な筋力がないと「頭を上げる」だけでも背中や腰に負荷がかかって痛めてしまいます。

腹筋のトレーニングの基本ですが、腹直筋の収縮は背中を丸めることで行われます。背筋を伸ばしたシットアップ(腹筋運動)は大腰筋が使われてしまい腹筋の刺激が弱くなるのと同じ理屈です。

腹筋が鍛錬されてくると余裕ができて自然に耐えられる姿勢が身に付くので、それまでは転がる前に徹底的にフォームを意識してください。

肘(ひじ)は伸ばさず外側に軽く曲げる

これは自然にできると思いますが、ローラーを転がすときの肘は外側に軽く曲げましょう。外側に曲げることで脇も少し開くはずです。脇を締めないのも大切です。

肘を真っすぐに伸ばしてしまうと、背筋が曲がらず猫背も作れなくなり、それにより腹筋の緊張も弱まってしまいます。何もいいことがありません。

ローラーを上から押し付けながら転がす

これはローラーを押し付けること自体が目的というよりも、「前に勢いよく転がり過ぎないようにする」のと「手首を返さないようにする」というのが目的です。

特に、初心者にとっては後者の「手首」が重要な役割を果たします。ローラーを握るとき、手のひらが自分で見えるくらい手首を立てる意識を持ちましょう。

反対に、手の甲が見えるような持ち方は肘が伸びてしまうので危険です。手の甲をローラーの進行方向(前)に向ける意識がポイントです。

できるようになってくると、手首は意識しなくても問題なくなります。手首を立てると可動域が狭くなる(ローラーを遠くまで転がせない)ので、手のひらが地面と平行になる持ち方で遠くまで転がして負荷を高めていきましょう(これは中級者向けです)。

伸びている間はおへそを見る(顔を上げない)

これは特に初心者向けです。

できる人は顔(頭)や首を意識しなくてもフォームに影響はありませんが、初心者は頭を下げる(顔を上げない)ことを意識することで、これまで書いてきた「腹筋を意識」「猫背」「ローラーを上から押し付ける」ことも自然に行えるようになります。

顔を上げるのはアブローラーに慣れてきてから

レップ数(回数)が増えるとキツくなりますが、顔を上げずに耐えましょう。初心者の場合、顔を上げると背筋・腕が伸びてしまい、負荷が背中・腰にかかり痛めます。

 

腕から肩は一直線(横から見て)

鏡に映さないと確認できないかも知れませんが、身体が伸びているとき、横から見てローラーの支点または手首から肘・肩までは一直線になるようにしてください。

3つ目に書いた「肘」の話も関わるもので、ローラーを前に転がしたとき、肘が下がらないように気を付けてください(肘は軽く外側に曲げるだけです)。肘が下がると一直線にはなりません。

お尻にも力を入れる(姿勢維持)

2つ目の猫背と合わせて、お尻(肛門)をキュッと締めることで腹筋に力を入れやすくなります。意識するのは両サイドの大臀筋(だいでんきん)です。

伸びた状態から臀部(でんぶ)の力で戻ることはありませんが、お尻に意識をすることで自然に腹筋も使われ、腕の力を使わない理想的な戻り方ができるようになります。腕の力や勢いで戻る「腕引き」は止めましょう。

次に書いている「足を開く」ことにより、さらに力を入れやすくして難易度を下げることも可能です。

足を広めに開くことで負荷を軽減(できない場合)

最後は、足を開いて膝と膝の距離を肩幅程度まで広げることで、負荷を少し軽減する方法です(もともと両膝を閉じてやる必要もありません)。

足を開くことで腰の位置が低くなるため、前に倒したあとに戻す距離が短くなり、その分だけ必要な筋力が軽減されることになります。ただし、足を開き過ぎないように注意してください。肩幅か肩幅より少し広くする程度です。

つま先は両足揃えても、セパレートのまま伸ばしておいても問題ありません。ただし、つま先を浮かせるとバランスがとりづらくなるのと、大腿四頭筋やハムストリングの関与が薄まるため、難易度は高くなってしまいます(中級者向けです)。

最後は諦めずにコツコツ練習すること

最初に書いたとおり、「アブローラーは必ず誰でもできる(ようになる)」のは間違いありません。

アブローラーは手軽そうに見えるだけで、遊びではなく本格的な筋トレ種目です。見た目とは裏腹に、最初から一定程度の筋力と正しいフォームが求められる難易度の高めなトレーニング方法ですね。

ただ、筋トレということは、少しずつでも努力すれば必ず報われるということでもあります。ワイドグリップの懸垂(チンニング)が1回もできなくても、頑張っていれば誰でも数をこなせるようになるのと同じです。

少しのテクニックと諦めない不断の努力で、アブローラーの強烈な刺激を利用して腹筋を鍛え上げてください。

 

最後に、ここまで説明したテクニックを再掲しておきます。反復しながら頭と身体で覚えてください。

  1. とにかく腹筋に力を入れることに集中
  2. 背筋は伸ばさずに猫背(首を前に出すくらい)
  3. 肘(ひじ)は伸ばさず外側に軽く曲げる
  4. ローラーを上から押し付けて転がす
  5. 伸びている間はおへそを見る(顔は絶対に上げない)
  6. 腕から肩は一直線(横から見て)
  7. お尻にも力を入れる(姿勢維持)
  8. 足を広めに開くことで負荷を軽減(できない場合)

本当に、あるときから全く痛みもなくアブローラーが普通に使えるようになります。

これまで筋トレしていた経験者がアブローラーで痛みを感じるとしたら、それはフォームに問題がある可能性が高いと思われます。筋力というよりもテクニックの問題でしょう。

それに加えて初心者は「アブローラーに必要な筋力」が足りていない可能性があり、その閾値(しきいち)が満たされた瞬間から普通に使えるようになるのだと考えています。痛みを感じるアブローラーのやり方が分からなくなるのも時間の問題です。諦めずに頑張りましょう。

もし、この記事がアブローラーのトレーニングに役に立ったと思われたら、他の人にも紹介していただけると幸いです。

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