日本語を理解できる人が英語版のオンラインバンキングを使うことはないと思いますが、働く外国人が日本で銀行口座を使うのには英語が使えたほうが便利なシーンも多いでしょう。
勤め人の場合は給与振込口座は会社指定の銀行になるとして、それを「普段使いするか(できるか)」は別問題です。
基本的にオンラインバンキングは日本居住者向けのサービスのため、日本人であっても海外居住者は英語版を含めて使わない方が良いです。いつ口座を止められても文句は言えません。
そこで、今回は英語に対応している日本の商業銀行について調べてみたので、その結果と分かったことを書いてみたいと思います。対象は個人のみで法人口座は対象外です。
邦銀の英語対応状況
調べてすぐに分かったことですが、日本の銀行はほとんど英語に対応していません。
ログイン後の取引画面が対応していないのはもちろん、そもそも英語のページ自体存在していない金融機関がほとんどですね。在日の外国人はどうやって生活しているのでしょう。
英語版のオンラインバンキングのできる銀行
それでは数少ない英語版のオンラインバンキングが用意されている銀行の紹介です。銀行は全銀協の会員を対象にしています。
SMBC信託銀行(プレスティア / 旧・シティバンク銀行)
調べた限り、国内では上記3行だけのようです。それ以外に英語で取引できるオンラインバンキングは見当たりませんでした。
新生銀行もSMBC信託銀行もネット専業銀行とは違って支店のある銀行なので、困ったときの最終手段として来店するという手段があるのは良さそうですね。ただし、支店があるのは都市部のみです。
セブン銀行は支店のない銀行ですが、ネット専業銀行というよりもコンビニや商業施設に設置されたATMがメインの銀行です。
新生銀行・SMBC信託銀行(PRESTIA)・セブン銀行以外の銀行でも外国人(日本居住者のみ)が口座開設することはできます。ただし、全て日本語で日本語の利用規約・約款などを読み、それに同意したうえで利用することになります。もちろん、お知らせなども全て日本語です。
それでは、最終手段として支店でも相談できる新生銀行とPRESTIA(プレスティア)について、用意されている英語版について少し掘り下げてみたいと思います。
SHINSEI BANK(新生銀行)
新生銀行は前身が日本長期信用銀行で、リップルウッドに買収された後から個人向けの業務を本格的に始めた銀行ですね。
SHINSEI BANK https://www.shinseibank.com/english/
その際、当時の経営陣や株主に外国人が多かったことから、当初から外国人向けの英語版オンラインバンキングがあったようです。
ちなみに、新生パワーダイレクトと呼ばれる取引画面の英語版は誰でも使えるようで、新生銀行の英語版ホームページからログインすると英語版のインターネットバンキングを使うことができます。
意外だったのが、単純な普通預金・定期預金や振込のほか、仕組預金のような金融商品まで英語で用意されていました。日本人相手でも複雑な説明が必要な商品なので、この取り扱いがあることには驚きました。
コールセンターも "for English speaking operator" ということで、英語応対できるオペレーターにつながる番号を用意しているようです。
さらに、オンラインバンキングだけでなく、一部の支店には「英語対応可」というラベルで英語応対できることを明示していました。
単純な英訳レベルかと思っていましたが、新生銀行は予想を超える対応をしているという感想ですね。
PRESTIA(SMBC信託銀行)
次のPRESTIAですが、これはシティバンク銀行のリテール業務がSMBC信託銀行によって買収されたものです。SMBC信託銀行自体、ソシエテジェネラル信託銀行を三井住友銀行が買収した信託銀行です。
シティバンク銀行自体は法人・投資銀行業務が存続しているので、金融庁から繰り返し業務改善命令や行政指導を受けていた個人業務が重荷になっていたのでしょう。
PRESTIA https://www.smbctb.co.jp/en/index.html
シティバンク銀行はciti Groupが持つグローバルなATMや送金網などもあり、外国人が口座開設する銀行としてはファーストチョイスだったと言っても過言ではありません。
優良な顧客層も特徴で、プレスティアになってからも継続している「口座維持手数料(月2,000円)」があることで、預金のない顧客は不要というスタンスを打ち出しています(無料にする条件は20万円の外貨預金や50万円の総預金残高など、ハードルが高いものではありません)。
プレスティアも普通預金や振込の他に仕組預金も提供していています。
ちょっと気になったのが、口座開設の手続きは「電話で申込書をリクエスト」か「日本語のWebサイトから申し込む」という2択で、オンラインバンキングを使う層への入り口として十分なのか疑問に感じました。
あまり利用者を増やす気はないんでしょうか。
日本人に英語版は関係ない?
最後に、英語版は日本語が理解できない外国人のみが対象ではなく、日本語が使えない状況で活用できる可能性もありそうです。
どの銀行も海外のATMで現地通貨を引き出すことを強みにしているようですし、海外に出てから残高確認やATMの引出限度額の変更などで使う必要が出てくるかも知れません。さらに、日本語フォントがインストールされていないPCを使うときなど、英語版のオンラインバンキングしか使えない状況も考えられますね。
共有PCなどからはアクセスしないのは大原則ではありますが、そうは言っても背に腹は代えられない状況というのも現実問題としてあります。
ただ、新生銀行もプレスティアも海外からの受電に対応するコールセンター( Toll Free = フリーダイヤル)があるようなので、まずは電話してみることが良いかも知れません。