乾燥の季節になると、部屋の湿度を保つ強い味方は加湿器ですよね。昨シーズンに使っていたものを引っ張りだす人もいれば、新しく加湿器の購入を考える人もいるでしょう。
私はこれまで4台の加湿器を経験してきましたが、加湿器は「スチーム式(蒸発式)」の一択です。もうスチーム式以外は使えません。
「気化式」「超音波式」「ハイブリッド式」などの方法に比べて電気代が高くなるデメリットはありますが、小さい子供がいる家庭は他に選択肢はありません。お金を理由にして、加湿力の弱い不衛生な環境に子供を晒すのは止めましょう。
どの家庭であっても「スチーム式」はオススメできる一方で、スチーム式には他にはない特有のメンテナンス(掃除)が必要です。
「気化式」「超音波式」「ハイブリッド式」も定期的な掃除が必要です。むしろ、スチーム式以外の加湿器は、掃除を怠ると空気中にカビ・細菌をまき散らす道具になってしまいます。
使ったことがある人なら分かると思いますが、スチーム式の加湿器内に発生する「スケール(Scale)」の掃除が欠かせません。
今回は、掃除を怠ると取り除くのが非常に難しくなるスケールについて、それを簡単かつキレイに掃除する方法をご紹介したいと思います。
スチーム式加湿器のスケールをキレイに掃除する方法
スケールは掃除を怠ると何層にも重なっていき、加湿器内に石のように固まってこびりつき、簡単には落とすことができなくなってしまいます。
力任せに剥がそうとすると、加湿器自体を傷つけてしまうことになりますね。とりあえず、スケールが付いてしまった部分よりも固いもので擦るのは止めましょう。
でも、安心してください。スケールがなにものかは分かっているので、その成分を科学的に落とす方法があります。
そもそもスケールとは
厄介なスケールを取り除くにあたって、まずはスケールについて正しく理解しておきましょう。これを押さえておくことで、スケールを取り除く方法が理解できます。
まず、スケールとは「水道水に含まれるカルシウム・マグネシウム・シリカ(二酸化ケイ素)・鉄分などの蒸発残留物」で、これらの無機塩類化合物が加湿器内に集まって固まったものです。コップやグラスに付着する白いものも同じですね。人体には無害です。
三菱重工冷熱の加湿器のようにタンクにイオンフィルターを装着して、水道水の中からスケールのもとになるものを取り除くものもありますが、それでもスケールの発生を完全に抑えることはできません(実際にスケールの発生を抑える効果は相当あります)。
そして、家庭では主に加湿器の掃除で意識されますが、工場・ボイラー施設などでは水道管を塞いだり熱効率を悪くする原因として知られている厄介者です。
スケールを取り除くために用意するもの
それでは、スケールのことを理解したところで、実際に発生してしまったスケールを取り除くための準備です。
先ほど書いたとおり、スケールの成分は「アルカリ性」のため、「酸性」の溶液で中和するのが基本です。しかし、同じアルカリ性溶液を使って、スケールをやわらかくする方法もあります。
どれくらいスケールが固着してしまっているのかなどにもよるので、実際にうまくいくまで試してみると良いでしょう。
取り除くために用意するものは、以下のとおりです。
- クエン酸(酸性)または 重曹(アルカリ性)・セスキ炭酸ソーダ(アルカリ性)
- ティッシュペーパー
- 歯ブラシ または プラスチック製のスプーンなど
用意する溶剤ですが、酸性・アルカリ性のどちらか1つで十分です。まずは中和の化学反応で落とすことを優先して、基本的には酸性のクエン酸(Citric acid)で良いでしょう。
それでもダメだった場合、アルカリ性の溶剤を使うという順番で問題ありません。
アルカリ性の溶剤を使う場合、まずは重曹からにしましょう。
ビーバースチームファン蒸発式加湿器を販売している三菱重工冷熱は、最初から重曹の利用をアドバイスしています(カルシウム・マグネシウムは酸性溶液で簡単に落とせますが、それでは落としにくいシリカを想定しているのだと思われます)。セスキ炭酸ソーダは強力な掃除道具として有名ですが、肌に直接は触れない方がいいほど pH(ペーハ)が高い奥の手です。重曹と異なり、口に入る可能性のあるものには使用できません。
スケールを取り除くための方法
いよいよ実際にスケールを落とす作業です。下記の流れで作業してください。
- スケールが付着した部分をティッシュで包みます
- その上から用意した水で溶かした溶液(酸性またはアルカリ性)をかけてください
- 1時間ほど放置します
- ティッシュを外して歯ブラシでスケールをこすり落とします
- 落としきれなかった場合、残った部分に1からやり直します
クエン酸などの溶液を沁み込ませたティッシュで、スケール部分をパックする要領で覆って、時間をかけてスケールを溶かすイメージですね。
経験上、クエン酸・重曹の濃度は薄くなければ気にしなくても大丈夫です。水に対して5%程度を目安にして良いと思いますが、私は溶け切らない(飽和する)レベルで大胆に入れています。小さじ1杯5g・大さじ1杯15gです。
浸したあと、軽度なスケールであれば、歯ブラシを使わなくても手でこするだけで取り除けます。それだけ化学反応により溶けています。
ただ、スケールが発生してから時間が経っているとスケールが何層にもなっているため、なかなか1回の掃除では落としきれません。
三菱重工冷熱の roomist の場合、放置し過ぎると加熱ヒーターと蒸発布がくっついてしまい、そもそもティッシュで包むことすらできないこともありますね。その場合、ティッシュの代わりに、くっついてしまった蒸発布を乾燥させて溶剤を直接かけてください。時間を置けば、蒸発布がスルッと抜けるようになります。
まだ癒着が激しい場合、癒着部分に溶剤をかけて、時間をかけて中和しながら(溶かしながら)徐々に剥がしていきましょう。時間をかけて蓄積されたスケールなので、一回の作業で完璧に落とし切ろうと思わず、丁寧に時間をかけて掃除する必要があります。ただ、明らかに表面のコーティングと癒着して硬化したスケールは極めて困難です。
私が使っている加湿器とオススメの掃除道具
私はリビングで三菱重工冷熱(三菱重工サーマルシステムズ)のroomistシリーズ SHE60RDをフル稼働で使っていて、これは2週間(120時間ごと)に掃除の必要があります。他にも、蒸発布・イオンフィルター・BIOフィルターのランニングコストがあり、毎シーズンなかなかの金食い虫になってしまっています。1シーズン一式で2,500円くらいでしょうか。
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一方、寝室では象印マホービン(ZOUJIRUSHI)の EE-RM50-WA というスチーム式加湿器を使っていますが、これは掃除も毎日やってもいいほど本当に楽で助かっています。フィルターなども不要で、加湿器4代目にして加湿器の最終形に出会ったと感じていて、5台目以降も間違いなく象印の加湿器にするでしょう。
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ただし、デメリットとしては、見た目が完全に「電気ポット」というインテリアになりえない点が挙げられます。加湿力もメンテナンスも素晴らしいのですが、見た目だけは…という感じです。
掃除はクエン酸を入れて運転(沸騰)させるだけでよく、これはティファール(T-fal)の電気ケトルなどのお手入れと同じですね。スケールが気になる部分はクエン酸洗浄後に拭けばとれます。
これから加湿器の購入を検討されている方は、ぜひ象印マホービンの加湿器を検討してください。スチーム式の中では圧倒的にオススメです。
加湿器の掃除道具
何を使っても問題ないとは思いますが、クエン酸を含む食用酢(酢酸)はスケールに対しての効果はイマイチだと感じています。
象印の加湿器は容量2,2L~3.0Lに対して30gのクエン酸(濃度1.0%~1.3%)を使うのですが、食用酢のクエン酸は5%程度のため、お酢のクエン酸濃度でも十分な効果があってもおかしくありません。ただ、個人的な使用感としては効果が薄いと感じています(理由があるのか、感覚的なものなのかは分かっていません)。
何より、クエン酸水を自分で作る場合、スケールの付着具合によって濃度を高く作ることができるので、それにより高い効果を発揮できているのでしょう。私の場合、クエン酸水を作ってかけたあと、ティッシュの表面がざらつくレベルにクエン酸を直接摺り込んでいます。
クエン酸は調理器具や台所掃除にも使えて、重曹も浴室掃除や洗濯物にも使うことができるので、我が家では加湿器のオフシーズンでも重宝しているアイテムです。
まとめ:乾燥は百害あって一利なし
加湿が風邪やインフルエンザの予防にもなることは有名ですが、他にも乾燥は肌に大きなダメージを与えます。冬は一気に肌が老け込むシーズンで、男性も肌が「ベタベタ」しているときは気を付けてください。それは「しっとり」ではなく、乾燥した肌が油分を出して肌を守ろうとしているSOS信号です。
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また、肌が乾燥することにより、シワが深くなり、口元・目尻を中心とした小じわが目立つようになります。手遅れになる前に、加湿器以外に自分の肌もケアしておきましょう。肌は一生ものです。
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本題に戻すと、スチーム式加湿器は電気代以外にも消耗品やメンテナンスに費用・時間・手間がかかるので、省力化できる部分は絶対に省エネにしましょう。
ぜひ「象印のスチーム式加湿器」と「クエン酸 」で楽なメンテナンスを経験してみてください。
一度この手軽さを知ると、他の加湿器に戻れなくなると思います。もう加湿器の掃除ランプに悩まされることもありません。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が加湿器の掃除と加湿器選びの参考になれば幸いです。