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筋トレしたら就寝前にカゼイン・プロテインを飲むのは正しいの?

就寝前にカゼインプロテインを飲む

 

以前、直近6年以内に発表された海外の研究データや発表を根拠にして、プロテインの種類・目的・摂取タイミングなどをまとめた記事をご紹介しました。

プロテイン・パウダー
その知識は古いかも!?プロテインを飲むタイミングは目的によって違います

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そこでも少し触れた「カゼイン・プロテイン(Casein Protein)」は、オススメされている飲むタイミングが「就寝前」ということで、トレーニング前後に飲むべきホエイとは少し毛色が違います。

よく言われる「就寝前にカゼインを飲む」という話については、これは本当に正しい情報なのでしょうか。

また、ホエイを飲んで、さらにカゼインを飲むということで、タンパク質の過剰摂取を不安に思う人がいるかも知れません。日本語サイトでは「筋トレをしてプロテインを飲む人」が読むには不適切なフェイクニュースが多いので、これについても最新の研究データに基づく「世界の常識」をご紹介したいと思います。

カゼイン・プロテインとは

本気で筋肥大を目指して筋トレをしている人は別にして、カゼイン(Casein)はホエイ(Whey)に比べて知っている人も飲んでいる人も少ないでしょう。市販されているプロテイン飲料やパウダーも大多数がホエイで、それは運動後のタンパク質補給を目的としています。

カゼインとホエイの違い

ホエイ・プロテインもカゼイン・プロテインも同じ牛乳をベースにしたプロテインです。牛乳に含まれるタンパク質というのがカゼインとホエイで、牛乳のタンパク質のうち80%をカゼインが占め、残りの20%をホエイが占めています。

そして、その特徴を生かして作られているのが、一般的なプロテイン(ドリンクやパウダー)です。

  • ホエイは、体内で早く消化・吸収されます
  • カゼインは、ゆっくり長い時間をかけて消化・吸収されます(持続放出型)
  • どちらのプロテインも、身体の成長や修復に必要な必須アミノ酸を含んでいます

上記のような特徴があるため、それぞれのタンパク質の特性を生かした摂取方法が存在します。

カゼインを飲むべきタイミングと効果

カゼイン・プロテインを飲むタイミングですが、これは飲んでいる人は当然にして狙っている効果のとおりです。ズバリ、「寝る前に飲む」です。

これは多くの実験・研究データで有効性が裏付けされているもので、就寝前のカゼイン摂取は筋肉の成長・強化に役立ちます(他にも脂肪減少の効果も報告されています)。

基本的なことですが、筋肉の合成を効率的に行うためには、4-5時間以上の間隔を開けずにタンパク質を摂取することが理想です。しかし、就寝中は食事やプロテインによるタンパク質の補給がないため、身体の中では筋肉を分解して栄養を作り出そうとしてしまいます。要するに、筋肉が減ってしまうカタボリックな状態のことですね。

寝ている間に筋肉は分解されます

それを補うために、Time-Release(持続放出型)のカゼインを飲むことで、筋肉を分解する代わりに身体が長くゆっくりとタンパク質を取り込むことができるようになります。

就寝前にカゼインを飲んでタンパク質を補給

カゼインはタンパク質を補給できない時間を埋め、筋肉が分解されるのを防ぐ効果(アンチ・カタボリック効果)があるということです。もちろん、タンパク質による筋肉の成長・回復も促します。

オススメのカゼイン・プロテイン

カゼインの摂取方法ですが、カゼインを多く含むカッテージチーズやギリシャ・ヨーグルトのような乳製品を食べることでも摂取できます。

「就寝前に25-50gのカゼインを摂取する」のが効果を最大化するのに良いとされていますが、この量を食事で摂取する場合は「雪印カッテージチーズ 1個少々」と「森永乳業パルテノ 2個半」を食べなくてはいけません。もちろん、寝る前です。

そもそもカッテージチーズは素材のまま食べるものなのか疑問ですし、ヨーグルトでも寝る前に2個半も食べるのは苦しいでしょう。

要らない食塩・脂質・糖質も含まれてしまうのはもちろん、ヨーグルトの場合は200kcal近く(プロテイン1.5杯分)にもなってしまいます。ここまでくると摂取カロリーも気になりますね。

ということで、現実的にもオススメはカゼインのプロテイン・パウダーです。純粋なカゼインだけではなく、ホエイなどもバランスよく配合している商品が主流です。"100% Casein" は海外製品で数銘柄ある程度だと思います。

 

カゼインに関しても「DNS(ドーム)」の商品が一番のオススメです。一点だけ気を付けたいのが、DNSのプロテインは高クオリティではあるもののカゼイン(ホエイプロテイン スロー)だけは美味しくありません。日本製であっても本当に美味しくないです。

これまでDNSの多くの味を飲んできましたが、カゼインのミルク味だけは今でも慣れない味です。今後も味には期待しないほうがいいのかもしれません。

タンパク質の過剰摂取は問題ないのか

どんな食事でも少なからずタンパク質を摂取します。食事の他にも運動後にホエイ・プロテインを飲んで、さらに就寝前にカゼインを飲むとすると「タンパク質を摂りすぎではないか」と思う人もいるでしょう。

このタンパク質の過剰摂取ですが、結論としては「健康な普通の人」は全く心配する必要ありません。ただし、腎臓や肝臓に既往の病気がある場合、摂取量に上限を設けた方が良いという研究結果もあります。既に持病がある人が対象です。

因果関係が逆なので、現時点で問題がない場合は特に気にする必要はないでしょう。これまで「タンパク質の過剰摂取による悪影響」という研究結果(エビデンス)はなく、研究者達の結論は「気にする必要はない」というものです。

タンパク質の大量摂取による支障はないという論文は数多くありますが、明示的にタンパク質の過剰摂取による弊害を示した論文は2022年7月時点でも見当たりません。今でも定期的に話題になってはいますね。

もちろん、プロテインには1杯100kcal程度のカロリーがあるので、水の代わりに飲んでいれば肥満の原因になりかねません。これはプロテイン固有の問題ではないでしょう。

まとめ:カゼインも飲んで筋トレの効果を最大化しましょう

最後に、筋トレの効果を最大化させるプロテインの飲み方をラップアップしておきます。

  • 筋トレ後以外にも、4-5時間以上の間隔を開けないようにタンパク質を補給(食事でもOK)
  • 筋トレ後は2時間以内にホエイ・プロテインを摂取
  • 就寝前にはカゼインを含むプロテインを摂取

「筋トレ後の2時間以内にホエイ・プロテインを飲む」というのは、従来の30-45分というゴールデンタイムではないように見えますが、これが国際スポーツ栄養学会(International Society of Sports Nutrition, ISSN)で2017年8月に発表された最新の研究結果です(前回の記事のとおり)。

このように、ホエイ・プロテインとカゼイン・プロテインを使い分けることで、苦しい思いをした筋トレの効果を最大化することができます。少しでも効率的に目標を達せられるように、科学的なトレーニングと栄養補給を心がけましょう。

 

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