会社勤めのサラリーマンにとって、ふるさと納税のワンストップ特例制度は楽でいいですよね。ワンストップ特例制度を使えば、自動的に翌年の住民税から「寄付金額-2000円」が自動的に控除されます。確定申告も不要です。
でも、本当に「確定申告不要だからいい」と言える制度なのでしょうか。そもそも、確定申告が何か得体の知れない「面倒なこと」だと勘違いしていたりしませんか?
令和元年分 確定申告特集 - 国税庁
その思い込みで損しているかも知れませんよ。
そんなわけで今回は、ふるさと納税で「ワンストップ特例制度を使うケース」と「確定申告を行うケース」で、寄附先選びや実際の寄附の仕方がどのように変わるかを説明したいと思います。
どちらも控除される税金(所得税・住民税)に最終的な違いはないので、この「ふるさと納税の仕方」が変わるのが一番意味があると考えています。
先に書いておくと、「5つの自治体を超えて寄付したいとは思わない」「ふるさと納税で少しでも得したいとは思わない」という無欲な方は対象外です。5つの自治体という制約の中で満足できるなら、ワンストップ特例制度で問題ないでしょう。
ワンストップ特例制度と確定申告で変わること
ここからはワンストップ特例制度と確定申告で「何がどう変わるのか」について説明していきたいと思いますが、最初にお伝えしたおきたいポイントは「ふるさと納税はワンストップ特例制度ありきで使わないこと」です。これは最終的に確定申告することになるか否かに関わらず、です。
最初からワンストップ特例制度を意識して使うと、「寄付は5つの自治体まで」という前提で寄附先や返礼品を選ぶことになってしまうのが理由です。
というのも、昨年の2018年度は既に5自治体に寄付してしまった人による下記のような書き込みをよく目にしました。
- 年末のAmazonギフト券・JCBギフトカードなど、金券を返礼品にした自治体に寄付できない(6自治体目になってしまう)
- 今年の枠は終わったと思ったら、ボーナスが良くて枠が増えたけど別の自治体に寄付できない(6自治体目になってしまう)
- 5自治体以内だから年末まで待ってみたけど、この時期だと夏・秋が旬の返礼品がない(あっても半年以上先の配送になる)
この先、どのような返礼品が登場するか分からないですし、「地場産品限定・還元率3割以内」と言えども、年末まで待てば目玉となる返礼品が出てくるかも知れません。焦って動いても損するかも知れず、待ちすぎても得しないかも知れない状況ですね。これも全ては結果論です。
そんな状況を上手く乗り切るためには「良いと思ったものを少しずつ寄附していく」という方法しかありません。旬も逃さず、新しい目玉商品があっても対応できます。「ワンストップ特例制度で5自治体までだから」という理由(制約)で、良いと思った返礼品を我慢したり様子見するのは本末転倒でしょう。
ワンストップ特例制度を使う理由が「確定申告しなくていいから」であれば、来年度は確定申告に挑戦するつもりで「ふるさと納税」をフル活用しましょう。
何も制約を考えず寄付をして、結果として5自治体以内ならワンストップ特例制度を使えば良いだけです(ワンストップ特例制度の申請書は返送しておいて、万一の確定申告に備えて寄附金受領証は大切に保管しておいてください)。
ワンストップ特例制度の申請書を自治体に提出した後でも、翌年に確定申告すれば確定申告の内容が優先されます。確定申告すると、提出済のワンストップ特例制度の申請は無効になる(無視される)だけなので気にしないでも大丈夫です。
ここで勘のいい人は気付くと思いますが、これが「ふるさと納税をフル活用する方法」のポイントです。
- 返礼品で良いと思ったものがあったら自由に寄附(ワンストップ特例制度も申請)
- 上限金額の範囲内に収まるように寄付していく(全てワンストップ特例制度も申請)
- 結果として5自治体以内に収まったら、そのままワンストップ特例制度を利用(何もしない)
- 6自治体になったら翌年に確定申告を進める(ワンストップ特例制度は無効化)
要するに、ワンストップ特例制度を使う前提の行動はしつつ、結果的に5自治体を超えたら確定申告してしまうという方法ですね。5自治体以内なら何口・何回寄付してもワンストップ特例制度は使えます。
確定申告をすることでワンストップ特例制度が無効になっても、そのことで追加でやらなくてはいけないことは何もありません。ワンストップ特例制度の申請書は出しておいても損することはないということです。
それ以上に、制約なく「ふるさと納税」を活用できるほうが圧倒的なメリットでしょう。
「ふるさと納税」の確定申告はハードルが低いです
「ふるさと納税」をかしこく使う方法が分かったとしても、それでも確定申告を不安や面倒に思う人もいると思います。
安心してください。インターネットすら使えない何万人もの老若男女が申告できています。ましてやネットでWeb検索するリテラシーのある人が申告できないわけがありません。さらに、会社員の場合、会社での年末調整で9割は終わっている状態からスタートです。
手元に「源泉徴収票・個人番号(マイナンバーカードまたは通知カードのコピー)・寄附金受領証」があれば、2日もあれば終わります(そのうち1日は郵送しに行く日)。私は会社から給料をもらう能力のある会社員なら、誰でも1日もあれば終わると本気で思っています。
まだ間に合う!マイナンバーカードのない会社員がe-TAXで確定申告を始める方法
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「ふるさと納税」の確定申告は寄附金受領証を紙のまま税務署に提出する必要があるため、基本的には下記の流れで進めることになります。オンライン完結はできません(マイナンバーカードがない場合)。
- 国税庁のe-Tax(イータックス)で確定申告書を作成
- 確定申告書類一式を印刷 ※マイナンバーカードがあればe-TAXで送信して確定申告完了
- 本人確認書類・マイナンバー確認書類を台紙に貼り付け
- 確定申告書類一式と寄附金受領証を封筒に入れて税務署へ提出(郵送か持ち込み)
- 国税庁のe-Tax(イータックス)で確定申告書を作成
- 確定申告書類一式を印刷 ※マイナンバーカードがあればe-TAXで送信して確定申告完了
- 寄附金受領証は自分で保管
他にも住民票がコンビニで発行できたり何かと便利なので、来年2021年度の確定申告に備えてマイナンバーカードだけは用意しておくことをオススメします。
マイナンバーカード交付申請 - 地方公共団体情報システム機構
マイナンバーカードがない場合は申告書類作成の前に税務署に行って、ID・パスワードを発行してもらう必要があります(全国どこの税務署でもOKで、その場で発行されます)。これだけは確かに面倒ですね。
しつこく繰り返しますが、インターネットも満足に使えないような人たちでも確定申告できています。「確定申告は面倒くさそう・難しそう」と思っている人は、それは「やったことがない」という食わず嫌いだと思ってください。
ふるさと納税に関しては、確定申告で入力する箇所は下の画像のページだけです(あとは確定申告の内容に関わらず必要となる情報の入力です)。
ここでは触れませんが、確定申告は医療費控除(やセルフメディケーション税制)のようなメリットもあったりします。食わず嫌いせず、ぜひ挑戦してみてください。
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について - 厚生労働省
2019年は「ふるさと納税」をフル活用しましょう
2019年6月に地方税法が改正・施行されて制度自体が落ち着き始めているので、これからは2018年のように自治体・総務省・メディアが騒ぐようなこともなくなっていくでしょう。
ただ、Amazonギフト券やJCBギフトカードのような明確にNGが出された返礼品はないにしても、今後も「グレーゾーン」な返礼品を出す自治体は出てくる可能性は十分にあると思っています。今なら、なぜか高還元率な家電を継続している新潟県燕市がありますね。
ふるさと納税で「高還元率な家電」の返礼品は新潟県燕市を残すのみ
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このような「消えるかも?」というような返礼品には前もって少し寄附しておき、さらに「うまみがある」という返礼品が出てきたときにも寄附できる余力を残しておくことをオススメします。返礼品の情報は自分で集める以外にも、早耳の人たちに任せて便乗する方法もご紹介しています。
やってみると拍子抜けするほど簡単な確定申告を前提とするだけで、ふるさと納税の選択肢が格段に広がります。食わず嫌いでチャンスを無駄にしないようにしてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が確定申告を行なってみるキッカケの一つになれば幸いです。