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セルライト?有酸素運動?ダイエットによくある誤解や間違い

ダイエットや筋トレに関する誤解

 

高カロリーフードのタピオカが大ブームになっている一方で、筋トレの必須アイテムであるプロテイン市場も空前の活況で右肩上がりの成長をしているようです。

従来とは異なり、メーカーも味を増やしたりタンパク質以外の成分を増やすことで、美容・ダイエットのためのプロテイン需要を作り出して裾野を広げることに成功しているようですね。

プロテイン市場で続く急拡大、女性や高齢者の購入増加、手軽な飲料やバーがけん引 - 食品産業新聞社

プロテイン商品の消費量は右肩上がり

そんなプロテインも、何の考えもなく飲んでいるだけではタンパク質の摂取以上の話はありません。プロテインをダイエットに利用したり、筋肉の成長(筋肥大)に役立てるには種類や摂取のタイミングなどが重要になってきます。

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そんなプロテインの話に限らず、今回はダイエットや筋トレに関するよくある誤解や間違いを集めてみました。昔は正しいと思われていた通説であっても、最新の研究では正反対な結果になっていたりするのが業界の常です。

そんな「あるある」な話を8個ほどピックアップしてみたので、最近の研究結果や当サイトの過去記事を参考に情報をアップデートしてみてください。

ダイエットや筋トレの「あるある」

誰が言い出したのか分かりませんが、誰でも下記のような話を一度は耳にしたことがあると思います。

  1. プロテインを飲むと太る
  2. プロテインの飲み過ぎは体に悪い
  3. アルコールはエンプティカロリーだから太らない
  4. 有酸素運動は20分後から脂肪が燃える
  5. スクワットは脚が太くなる
  6. お腹の部分痩せには腹筋がいい
  7. 筋肉が脂肪になって太る

どれも字面だけを見て否定するのは難しくありませんが、科学的には全否定しきれない側面も含まれています。

そのため、前提や部分的には正しいという話も交えつつ、「このような解釈は間違っています」ということを1つ1つ紹介していきたいと思います。

 

プロテインを飲むと太る

プロテインを飲むと太るのか?

たまに「プロテインを飲むと太る」と言ってプロテインを敬遠する人がいるようです。周りでも言っている人を見たことはありませんか?

いわゆる「プロテイン(Protein)」という言葉自体はタンパク質のことで、タンパク質には 1g = 4kcal のカロリーが含まれるため、「プロテインを飲むと太る」という話自体が間違い(太らない)とは言い切れません。ただ、これは「食事をすると太る」と言っているのと同じくらい意味のない話です。

普段どおりの食事と活動をする場合、追加でプロテインを摂取した分だけ摂取カロリーが増えることになります。活動のためのエネルギー(ATP, アデノシン三リン酸)にならずに余ったエネルギーは、当然にして一部は脂肪として蓄えられるわけですね。

このサイトでは一貫してDNSのプロテインホエイ100をオススメしていますが、この商品も「1食(35g)あたり140 kcal」というエネルギー表記があります。これは飲料メーカーのキリンが出している午後の紅茶ミルクティーが500mlあたり185kcalに近い熱量のため、プロテイン1回分にもジュース一本弱くらいのカロリーがあるということになります。

要するに、運動もせずに普段の生活に追加してプロテインを飲むということは、単純に摂取カロリーを増やすということを意味します。「プロテインを飲むと太る」は間違ってはいませんが、知識のなさからくる「正しくもない表現」だと言えるでしょう。

プロテインには筋肥大を狙った活用方法以外にも、プロテインには食欲を抑制するという研究結果もあります。プロテインのことを知って、ぜひとも活用してみてください。

プロテイン・パウダー
その知識は古いかも!?プロテインを飲むタイミングは目的によって違います

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プロテインの飲み過ぎは体に悪い

今でも「プロテインの過剰摂取は肝臓や腎臓に悪い」という誤った情報を載せているWebサイトを目にしますが、研究結果として害があるというエビデンスは存在しません。厚生労働省から公表された最新版の「日本人の食事摂取基準2020年版 (令和2年~令和6年)」でもタンパク質の耐容上限量の設定は見送られています。

「耐容上限量(tolerable upper intake level:UL)」とは、厚生労働省が定める「健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限」のことです。

ただし、「肝臓・腎臓に既往の病状がある人は避けるべき」という注意喚起があるのも事実です。既往の病気がある場合は注意しましょう。

Is Too Much Protein Bad for You? - healthline(英語)

健康な人がプロテインを摂取することに何も問題はないので、気にせずプロテインを積極的に摂取してください。

美容目的なら1日あたり体重(kg)の単位をグラム(g)にした量の摂取を意識して、筋肥大を目的とする場合は「体重 x 1.5 - 2.0」のグラム数を摂取するようにしましょう(体重50kgなら75-100g)。

タンパク質の摂取量は - 山本義徳 公式ブログ

十分な量を摂取できるのであれば食事からで問題ありませんが、摂取方法としてはプロテインパウダーのほうが効率的に摂取できるのでオススメです。

 

アルコールはエンプティカロリーだから太らない

さすがに「エンプティカロリー = 0 kcal(ノンカロリー)」という意味不明なことを言う人は周りでも見なくなりました。

アルコールは 1g = 7 kcal もある高カロリーなもので、さらには体に良い栄養素はほとんど含まれていません。この栄養素が皆無なことをもって「エンプティカロリー(Empty Calories)」と言われます。

お酒(アルコール飲料)
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お酒のカロリーは「容量 x アルコール度数 x 7kcal」で求められるので、自分が良く飲むお酒のカロリーを知るところから始めましょう。

1gあたりのカロリーは、脂質 9kcal・糖質(炭水化物) 4kcal・タンパク質 4kcalです。アルコールの 7kcalは、1gあたり9kcalの脂質に次ぐカロリーです。

ビールはアルコール度数 5%で高くはありませんが、量を飲めてしまうので結果的に過剰なカロリー摂取(肥満の原因)につながりやすい傾向があります。また、お酒の席では脂っこい食事が多いので、そのカロリーも太る原因の一つと言うことができるでしょう。

 

有酸素運動は20分後から脂肪が燃える

これは典型的な古い情報ですね。「有酸素運動 = 20分以降」で「20分超から脂肪が燃えだす」と信じられていた時代もありました。

しかし、現代では時間に関係なく運動・活動の強度と時間で計算する「メッツ(METs)」を基準として、この計算で算出されるエネルギー分は時間に関係なく「カロリーが消費される(脂肪が燃える)」とされています。

メッツとは運動や身体活動の強度の単位です。安静時(横になったり座って楽にしている状態)を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示します。
メッツ / METs - e-ヘルスネット(厚生労働省)

考えてみれば当然で、「20分未満の運動はダイエット効果がない」というのは無理がある話です。

そこで消費されるカロリーの出所がないわけがないので、5分でも10分でも活動した分だけエネルギー消費があるということです。

そのため、時間を気にするのではなく、「運動強度 x 体重 x 時間(分÷60)」で算出される消費カロリーを基に、自分のカロリー収支を管理してください。

身体活動のメッツ(METs)表 - 国立栄養・健康研究所

もちろん、筋トレのような無酸素運動にも METs値が存在します。ただ、ウェイトトレーニングはMETsは非常に高いですが運動時間が短いので、結果的に有酸素運動に比べて消費カロリーは抑えられます。

 

スクワットは脚が太くなる

スクワットで脚が太くならないことはありませんが、何も加重せずに行うスクワットに自分や他人が「太くなった」と実感できるほどの効果はありません。良くも悪くも、これが事実です。

自重(自分の体重)によるスクワットの負荷は高くないので、筋肉を大きくする筋肥大を期待することはできないということです。「脚トレが一番キツイ」「憂鬱になる」と世のボディビルダーが口を揃えて言う中で、自重スクワットで大きくなるなら苦労はありません。

高負荷なバーベル・スクワット

そもそも、筋肉を太くする(筋肥大する)ためには高重量による高い負荷をかける必要があり、自重レベルではスクワットを100回やろうと「自重の負荷で大きくなる筋量」以上には大きくはなりません。

そして、その筋量は他人が見て「大きくなった(太くなった)」と思われる水準には到底及びません。「引き締まった」と自分が感じるレベルでしょう。

反対に、太くしたいのであれば「漸進性過負荷(ぜんしんせいかふか)の原則」にならって、バーベルやダンベルを使ったスクワットやトレーニングマシンを使って、徐々に負荷を高めながあら筋量を増やす必要があります。

漸進性過負荷の原則 - Wikipedia

この原則から分かるとおり、「立ち仕事(立ちっぱなし)だから足が太くなる」ということもありません。そういう人の大多数は足がむくんでいるだけです。

 

お腹の部分痩せには腹筋がいい

「お腹の部分痩せに腹筋」という話ですが、これは全てにおいて的外れと言わざるをえません。

お腹の「部分痩せ」は科学的にありえない

まず、よく耳にする「部分痩せ」というものは存在しません。部位によって脂肪の減りやすさはありますが、特定のパーツについた脂肪だけを減らすことは外科的な方法を除いては不可能です。

そして、痩せるのに必要なのはカロリー収支をマイナスにする(摂取カロリーより消費カロリーを大きくする)ことだけです。その消費カロリーを増やす手段の一つとして腹筋が存在します。あくまでも選択肢の一つでしかありません。

消費カロリーを増やすのであれば、腹筋よりも大きな筋肉を鍛えるほうが効率的なので、「お腹の脂肪を減らす = 腹筋」という安直な考えに流されないようにしましょう。運動時にお腹にサランラップを巻くような話もありますが、それは汗をかくだけで脂肪の燃焼とは無関係です。

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さらに、ポッコリお腹の解消の先にあるシックスパックを目指すのであれば、最後の最後まで残るおへそ回りの脂肪を落とす必要があります。シックスパックの形成には「腹筋」のトレーニングも必須になってくるので、ぜひシットアップ以外のトレーニングにも励んでください。

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ちなみに、メタボリックシンドローム(メタボリック症候群)は「男性85cm以上・女性90cm以上」というウエストサイズが有名ですが、中性脂肪値・HDLコレステロール値・血圧・血糖値にも診断基準(2個以上に該当)があるので注意してください。お腹の見た目やサイズが健康の基準ではありません。

メタボリックシンドロームの診断基準 - 厚生労働省

 

筋肉が脂肪になって太る

筋肉が脂肪になることはありません

人間の身体には筋肉が脂肪に直接変化するようなメカニズムは存在しません。

しかし、筋骨隆々だったスポーツマンが歳を重ねることでブクブク太るのを見たり、その張本人も「筋肉が脂肪に…」と言っていたりします。結果だけを見ると納得してしまいそうになりますね。

もちろん、筋肉が脂肪になったというようなことはなく、正しくは「筋量が減って」「脂肪が増えた」だけです(人によっては筋量は維持しているかも知れません)。下記のような現象だと言えるでしょう。

  • 全盛期から筋量が減少することによる代謝の低下(基礎代謝の減少)
  • 運動しなくなることによる消費カロリーの減少
  • これまでと変わらない食生活または暴飲暴食(過剰な摂取カロリー)

 

体を動かしていた全盛期に比べて消費カロリーは減少しているため、食生活を変えなければカロリー収支は摂取カロリーの超過(太る原因)になってしまいます。

特に、継続的に有酸素運動を行っていた人の場合、脱共役タンパク質(UCP, Uncoupling Protein)が減少しているため、他の運動をしていた人よりも太りやすい体質になっている可能性があります。

「浪費遺伝子」の視点から - 健康とトレーニング

筋肉は1kgあたり1日13kcalの消費カロリー(安静時)、脂肪は1kgあたり1日4kcalの消費カロリー(安静時)です。1kgあたり9kcalの差で小さな数字に思えますが、1日・1ヶ月・1年と続くと大きな差(脂肪)となって身体に現れてくるので注意してください。

これに気付いて歯止めを利かせないと、「筋肉が脂肪になったから太ってる(昔は筋骨隆々だったのに)」という情けない言い訳をすることになってしまうでしょう。

今ある情報も明日も正しいかは分かりません

明らかな間違いや誤解は別にして、ここまで説明してきた内容が明日も正しいかは分かりません。

新しい研究で全く異なったファクトが明らかになるかも知れないのと、科学の進歩で「部分痩せ」も可能な時代が訪れるかも知れません。昔は正しいと思われていた定説が今は否定されているということも往々にしてあるのがダイエット・筋トレの分野です。

最近でも、筋肉博士こと山本義徳さんは「プロテインはトレーニングの1時間前くらいに飲むのが良い」というような話をしていて、従来の「筋トレ後のゴールデンタイム」とは全く異なるプロテイン摂取方法を推奨していたりします(エビデンスは不明です)。

海外を中心に栄養学やスポーツ医学の分野は非常に研究が盛んです。より効率的・効果的なダイエットや筋トレができるようにするために、常に最新の情報にアンテナを張って良いダイエットや筋トレができるようにしましょう。

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